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INTERVIEW 01
吉野伊佐男 × 古本伸一郎
吉本興業代表取締役会長

2014.03.31

じつは吉野さんは私の先輩なんです


人生は何が起こるかわからない

古本
吉野さんと私は同じく上宮高校出身というご縁があるんですよね。「よしもと」の会長とまでなられた吉野さんは当時からクラスのムードメーカーだったんですか?
吉野
とんでもない、ネクラな学生でした(笑)
卒業後、先生の記憶にも残らないような学生でした。田舎から45分かけて通学していましたが、女子高生に出会うとドキドキして「大阪の街は華やかだな…」と思ったものです。上宮高校といえば野球も盛んだったじゃないですか?それにも憧れていたんですが、レベルの高さに諦めたんですよ。古本さんは生徒会長とかされていたんですか?
古本
いえいえ。私も地味で運動も冴えないし、勉強も苦手でした。
担任の先生から「お前、行く大学ないぞ。よしもと行くんか?」と言われて猛勉強したんですよ(笑)そして何とか大学が決まって、のちにこの仕事に就いて「え!あの古本が?」ととにかく驚かれました。
吉野
人生は何が起こるか分かりませんね。私、上宮高校の校訓は未だ鮮明に覚えているんです。「一に掃除・二に勤行・三に学問」でしたよね?
古本
懐かしいです。男子校なのに掃除や身なりにはとことん厳しかったですからね。
吉野
おもしろいやつがたくさんいましたし、クラスで株をやって儲けているようなやつもいて、はちゃめちゃな雰囲気もありましたが、そんな校訓のお陰で人としての基礎みたいなところを教えてもらえたような気がします。
古本
そうですね。大人になってはじめてありがたく感じることって多いですからね。
吉野
古本さんは卒業されて学校を訪ねたことありますか?
古本
何度かありますが、修学旅行で毎年、国会を訪ねてきてくれるんですよ。変わらないなと懐かしみながらも、近年は共学になり、女子生徒がいるとこうも華やかになるものかと驚いています(笑)

お笑いの聖地「なんばグランド花月」前にて


学校を会社に変える

学生時代を振り返り「大阪の街にドキドキした」と吉野さん

古本
御社の東京本社はたしか、廃校となった小学校を改造したんですよね。発想がユニークだなぁとニュースを拝見していましたよ。
吉野
学校は人が集まる様にできているじゃないですか?教室があって、校庭があって、教員室が全体を見て。考えたらよくできているんです。
古本
建物の造りがということですか?
吉野
そう、造りがうまーく出来てるんです。 若い人は銀座とか渋谷とかそういうとこにオフィスがあった方が喜ぶんでしょうけど、学校はみんなにとって特別なところだと思ったんです。勉強を教わるだけではなく、人が集団となる原点じゃないですか?それを会社に使うのって面白いなと思いまして。
古本
「よしもと」ならではといいますか、面白い着眼点ですね。
吉野
廃校となった小学校は近くに歌舞伎町やゴールデン街がある場所なんですね。
街を明るくしたいというお話があり、お笑いの会社が入れば、少しは明るくなるんじゃないかと思ったんです。そして、最初のお披露目に小学校の卒業生をお招きしました。
かつての学び舎を卒業生の方たちに見て頂きたかったんですよ。母校を訪ねるきっかけにもなりますしね。社員からも校庭をリフレッシュの場として利用できると評判もなかなかです。

笑いをコンテンツ化して未来へ

古本
私もその一人でしたが、土曜日のお昼に新喜劇を観ながら昼食を食べるのが大阪の子どもの日常でした。
吉野
そうですね。新喜劇は今年でちょうど55周年になります。
古本
55年ですか!もはや、伝統芸能ですね。
吉野
毎日放送で最初から放送させてもらっていまして、視聴率もいい時は20%超えたんですよ。視聴率は気にしないと言ったらいけませんが、あれはひとつのコンテンツだと考えています。
毎度毎度決まった流れで、悪役が出てきて、オチがあり、そしてズッコケる、最後はみんなハッピーエンドという流れは何百回、何千回やっても同じなんです。
この決まった流れが期待値となり安心感へとつながるんですよ。もちろん視聴率も大事だけど、期待に対して約束通り決める…このことが大切なんです。
古本
なるほど。劇場からスターが生まれ、テレビ黄金時代を経て、日本中に「よしもと」の名前が浸透しましたよね。次の時代はどのようにお考えなんですか?
吉野
いろいろな形がありますが、これからの時代を前に、医療や介護に携わる方々にこのコンテンツを活かしていけたらと考えています。大学の看護学科などと提携して授業をやらせてもらっていますが、好評ですね。少子化と言われていますが、NSCに入ってくる子たちは年々増えていますし、コンテンツは時代と共に変化しながら、人が生み出す新しい可能性を感じています。

「土曜日、新喜劇を観ながら昼食をとるのが楽しみでした」と古本


政治家としての原点

千日前を歩きながら、未来について語る

古本
私も政治家として10年が経ち、改めて初心に還ったといいますか、いろいろな観点に立って発信し続ける議員にならなければと思っているんです。
吉野
なるほど。
偉そうなことは言えませんが、よしもとは誰でも芸人を目指せるし、何をやっても自由なんです。
政党や政治家を応援すると言っても自由にやらせますし(笑)笑いというコンテンツは大切に守りますが、個人の思想や言動には一切口を出しません。それが一番難しいんですけどね。
古本
私はトヨタ自動車出身なので、初出馬の際に豊田章一郎さんにご挨拶に行ったんです。その時に意気揚々と「自動車産業のために頑張ります!」と挨拶したんですよ。そしたら「世のため人のために頑張るのが政治家なのでは?」と言われて…穴があったら入りたかった。
その原点を思い返し、多くの世代の人たちにスポットを当てていくことが必要だと考えたんです。
吉野
政治ってむずかしい事が勝手に決まっていく感じがしますからね。
古本
吉野さんが仰るコンテンツの展開って大切ですよね。政治は議論して決まるというコンテンツは変わらないけれど、政治的な都合を優先した政策で誘導してはいけませんね。NSCの門を多くの若者たちが叩くように政治に参加する若者がこれからどんどん増えるよう私もがんばっていきたいと思います。

吉野伊佐男
吉本興業代表取締役会長。1942年4月11日大阪府生まれ。上宮高校・関西大学商学部卒業後1965年吉本興業入社。趣味は、お笑いと野球観戦。